伝説のポップス&ロック「アバ」
「伝説のポップス&ロック (第1回) アバ」
NHK総合テレビ 1999年8月17日放送(50分)
映画「やかまし村の子どもたち」(ラッセ・ハルストレム監督作品)を観ようとして「アバ ザ・ムービー」がこの監督の作品であることを思い出しました。
急にそちらを観たくなって、というか聴きたくなってビデオを探してみたのですが録画していませんでした。
その代わりに見つけたのがこのビデオです。
1999年ロンドンで、アバの曲を使用してのミュージカル「ママ・ミア」が上演されました。
その頃に行われた4人のインタビューと過去の映像が納められたイギリス制作の番組です。
彼らの洗練された大人な音楽が好きでした。
聴いていてとにかく心地いいです。
アグネタのソプラノとフリーダのメゾソプラノのハーモニーが素晴らしいです。
伸びやかで開放感があり、煩くなく癒されます。華麗なダンスにも・・・。
来日時、「ミュージック・フェア」でサーカスが共演したことがあるのですが申し訳ないですけど、格段の差を感じました。
この番組では、アバとしてデビューする以前から解散後までが語られています。
一番印象的だったのは、すでに引退していたアグネタのインタビューが出来ていたことです。
黒いロングコートにグレーの長いマフラーを首にかけて、雪の公園(?)を歩いている光景が映りました。
バックに彼女の声が入ります。
インタビューの映像はありませんでした。
現役の頃は大柄なスタイルでしたが、顔はどちらかというと美人というより可愛いタイプでした。
リンダ・ブレア(映画「エクソシスト」)のように少し顔が腫れぼったい感じがしていた印象があります。
この映像は、年を重ねてはいましたが、とても落ち着いた感じがとても魅力的に見えました。
印象が少し暗かったかもしれません。
出演するのに気が進まなかったせいでしょうか。
彼ら4人はアバとなる前にもグループの一員として又はソロ活動をしてある程度の成功をおさめていたようです。
当時、フリーダには子供が2人いて離婚もしていたことには驚きました。
ビョルンとアグネタ、ベニーとフリーダがそれぞれにカップルとなり、その後にアバが誕生するのです。
番組の中で彼らが住んでいたストックホルムの小さな島が映りますが、これはこの番組のための映像なのかとちょっとわからなくなりました。
映画「アバ ザ・ムービー」のオープニング(もしかしてラスト)で小型飛行機(と思う)からの島の俯瞰のシーンがあったと思うからです。
ダイナミックでそれだけで感動した覚えがあります。
スウェーデンでは、彼らの世界的な成功が逆に金儲けとか体制の象徴とかの批判を受けることがあって、すべてに順調だったわけではなかったようです。
後年、再評価されたようです。
番組の中で、U2のボノが答えています。
“パンクロック派にとってアバは体制の象徴だった。少女趣味だという理由でアバの音楽は完全に無視されたが結果的に彼らは時代を越えて生き残った。
アバには音楽に対する純粋な喜びがある。”
音楽作りについてもかなり詳しく分析していました。
その方面にまったく無知なので、聞いていてもよく理解できないのですがちょっと分かった部分はここ・・・
“すべての演奏を複数のトラックに録音し、ほんの少し音程をずらしてミックスすると音がふくらんだ。リッチな音だ。これがアバサウンドだ。
ボーカルでも同様に、音程や音質を変えて別のトラックを作った。
それを元の歌声に重ねるときらめくようなサウンドが生まれたんだよ。”
面白いエピソード・・・アバとは缶詰会社と同じ名前だったこと。
もう一つは、アバはゲイに人気があること。特に衣装。
映画「プリシラ」(1994年)はその影響で作られたとのこと。
更に、彼らの音楽はビーチボーイズに影響を受けていたということ。
これは意外でした。
彼らが世界的になればなるほど、少しずつ夫婦の間にズレが生じていったようです。
家庭を第一に考えたいアグネタと仕事を優先したいビョルン。
スーパースターといえども悩みはみんな一緒ということのようです。
結局離婚をして活動は続けますがやはり難しく、フリーダとベニーも離婚して解散へと至ってしまいました。
後年発表した「The Winner Takes It All」は、“彼らが初めて自分たちのことを赤裸々に感情的に歌った歌”とスタッフの一人が語っていました。
変わらざるを得なかった、変わってしまえばもうアバではいられなかったということでしょうか。
4人が島で曲作りに没頭していた頃が一番充実していたのかもしれません。
男性2人はこの当時は「ママ・ミア」に関わっていて活躍していましたが、フリーダもすでに引退をしていてスイスで環境問題に取り組んでいたようです。
フリーダはアバの時もこの番組当時も終始穏やかでなかなか魅力的でした。
アグネタは引きこもったままなのでしょうか。(あくまで印象です)
画面の彼女がとても憂いがちで印象的でした。
世界のトップにたってしまうとその後にやってくるものが何なのか、ただの凡人には計り知れません。
この番組では彼らの曲がたくさん流されていましたが、今度はじっくりライブ映像を観たくなりました。
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