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オリーブの林をぬけて

「オリーブの林をぬけて」   製作:1994年/イラン

    オリーブの林をぬけて

監督:アッバス・キアロスタミ
脚本:アッバス・キアロスタミ
撮影:ホセイン・ジャファリアン
キャスト:ホセイン・レザイ
       タヘレ・ラダニアン
 モハメド=アリ・ケシャバーズ

この映画は初見です。
私は作品を監督で選ぶ傾向があります。
この作品も監督の名前を見ただけで録画して、ずっと観ていなかったものです。

あらすじ・・・
といっても、あらすじというほどのものは無いのです。
ホセイン(レザイ)は工事の仕事を辞めて、映画俳優の代役(端役?)に雇われ
その他の雑用もこなすようになります。
彼が以前から好意を寄せていた学生のタヘレ(ラダニアン)が相手役です。
彼は彼女と結婚したいと思っていて、撮影の合間などに必死に誠意をこめて
告白をし続けるのですが、彼女はまったく口をきいてもくれません。
そして・・・。

監督の作品は「友だちのうちはどこ?」(1987年)と「桜桃の味」(1997年)
を観ています。
どちらも、子どもが友だちへノートを届けに行くことと自殺志願者が協力者を
探して歩く、という大雑把な内容しか覚えていません。情けないですが・・・。
それでも、何となく心に残ったままでいました。

最初は、走る車の中から見える前方の緑の丘や赤茶けた道路、道端の人々
だけが延々と映ります。
会話が交わされて、運転しているのが映画関係の女性、同乗しているのが
学校の教師とわかります。
その教師が「友だちのうちはどこ?」の教師役を演じていて、俳優という仕事は
好きではないけれども、生活のために次も何かあったら出演させてほしい、と
語る不思議な導入部になっています。
その間、車は凸凹の道を走り続けているため画面は揺れっぱなし状態です。

教師を降ろして、初めて運転者の姿が映ります。
全身黒ずくめのイランの女性シバです。
助監督かプロデューサーかよくわからないのですが、車の運転はもちろん、
俳優(素人たち)の迎えからその俳優にセリフを教えたりスタッフの面倒を
みたりと、監督のそばでとにかくよく働く女性です。

監督はもっと面倒見がよくて、トラブルで時間が空くと見学に来た子どもたちの
相手をしたり、ホセインの悩みを聞いてあげたりと、その包容力の大きさを感じ
させます。
この監督役とシバ役が本物の俳優なのかもしれません。
二人とも、何ともいえない存在感があります。

撮影の場所は人里から少し離れた丘で、寝泊りをして撮影を続けています。
朝方、監督と出演者との間でこんな会話が交わされます。
“こんなに空気がいい所なのに、人が住んでいない”
“地震のため道路がふさがれ、救助が遅れて大勢が死んだ。
みんな街道の側に引っ越した。良い空気だけでは生きてはいけない”
ホセインの周囲でもたくさんの人が亡くなり、タヘレも両親を亡くしています。
この映画の中での撮影シーンはほとんど2シーンだけ。
何度も何度も同じシーンのやり直しがあり、そのセリフの中でも地震のことが
語られます。
“人間いつ死ぬか分からない。生きているうちに家庭を作らなくちゃ・・・。
次の地震で死ぬかもしれない”
映画の中でも、さらにその映画の中でも語られていて、イランの人々が
置かれている苦しさが伝わってきます。

ホセインは監督に切々と語ります。
“金持ち同士、地主同士、字を読めない同士の結婚は駄目です。
金持ちと貧乏、家のある人と無い人、字の読める人と読めない人が結婚して
助け合えば世の中はよくなります”
タヘレのおばあさんには“家が無いし、字が読めないから駄目”と言われても
“大事なのは礼儀と人格と知性ですよ”と答えていました。
タヘレには、“僕がお茶をいれたり、君が入れてくれたり、結婚ってそれなんだ。
これが人生なんだ”“僕の幸せはただひとつ、君を幸せにすることだ”
どんなにホセインが口説いても、タヘレは返事をしません。
彼にとっては、墓参りで自分を見つめたタヘレの目が唯一の希望でした。

撮影の合間も、一人語りかけるホセイン・・・。
“イエスだったら、今読んでいるふりをしている本のページをめくってくれ”と
いってジッと見つめていると、長いことかかって最後めくりそうに見えたとたん
撮影の再開の合図があるシーンは、切ないよりも笑ってしまいました。
こちらも、いっしょになってジッと見ていたものですから・・・。

ホセインがタヘレのミスをかばって何とか撮影を終了。
そのまま分かれてしまうかと思った時に、監督の一押しがあって、彼女を
追いかけていきます。
撮影の後始末でポットとバケツを両手に持ったまま・・・。
今の日本なら、完全にストーカー扱いになりそうです。

題名のとおり、オリーブの林をぬける間、ホセインはタヘレに抑揚の無い
口調(ペルシャ語の特徴?)で気持を訴え続けていきます。
リズムが一定で、聴いていると次第に心地よく感じられていきそうです。
素人なのかプロなのか良くわからない俳優ですが、そのセリフの多さに
圧倒され感動します。
とうとう林をぬけてしまい、いったんはあきらめかけるのですが丘のジグザグ
模様の道(どこかで観たような景色です)を駆け上がり、眼下のオリーブの
林を行くタヘレの姿を見ると又駆け下りていきます。
それを監督が見つめています。

眼下の林をぬけ、草原を横切り又次の林に入る手前まで、カメラは丘の上に
固定されロングショットで延々映されていきます。
二人の衣装が白いため、最初大きな二つの白いかたまりに見えたものが
次第に小さくなっていきます。
ほとんど点状になりかけた時、一つは変わらずに先へ進み追いかけていた
白いかたまりが元の道を戻ってきます。
何故か急ぎ足で・・・。
丘に残したポットとバケツを取りに戻ったには違いないのでしょうが、その
白い影が弾んで見えます。
オリーブの林の中の長い語りかけがあったことで、ロングショットのシーンが
より印象深く想像力をかきたてました。
主人公が一方的に語り続けることに、長いこと感じていた鬱陶しさがいつの
間にか消えていて、開放感があり余韻が残ります。

<追記>
重大な見落としをしていました。
タイトル(黒地にペルシャ語)が出る前に数分のシーンがありました。
監督役の俳優が画面に向かって“私だけが俳優です”と挨拶をし、その後
地元の女性たちの中から主役の女の子を選ぶシーン。
女性たちとの会話の中にも地震の影が感じられます。
選ばれたのがタヘレでした。
佐藤忠男氏の解説から(これも見落としです)
「友だちのうちはどこ?」(1987年)の後、1990年にイランで大地震があり
キアロスタミ監督は出演してくれた子供たちの安否を尋ねていきます。
その時の経験を元に「そして人生はつづく」(1992年)を、その後日談として
この「オリーブの林をぬけて」を作りました。
壊滅的打撃を受けた村で地元の人に出演してもらって作った、災害復興の
祈りをこめた作品とのことです。
きちんと最初から観ていたら印象も感想も違ったことでしょう。
情けないミスでした。

余談:
同じように撮影現場を映画にした作品に、フランソワ・トリュフォー監督の
「映画に愛をこめて アメリカの夜」(1973年)があります。
こちらの方が、現場の内情がよくわかります。
好きな作品でDVDも手に入れているのですが、未だに観ていません。
ジョルジュ・ドルリューの音楽だけでもワクワクしてしまうあの頃の感覚を
同じように味わえるのかどうか、ちょっと不安なもので・・・。

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