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まあ、いいか

darekatodokokade

このところ目の調子が悪くて、録画ビデオの鑑賞や読書が出来ません。
パソコンに向かうのも出来るだけ控えるようにしているため、なんとなく手持ち無沙汰な状態にいます。
仕方なく普段することも無い棚の整理をしていたところ、古いカセットテープを見つけました。
20年ほど前、ラジオ番組に投稿して採用されたものを録音しておいたものでした。
その中に、現在も続いているTBSラジオ(こちらではTBCラジオ)の「誰かとどこかで」がありました。
永六輔さんと遠藤泰子さんがパーソナリティーで、「7円の唄」というコーナー(金曜日放送)があり、そこで読まれたものです。

“まあ、いいか”

きょうもお客さんが来ない。
こんな日はお隣の大家さんに気兼ねしてラジオのボリュームに何度も手が伸びる。
古本屋のおばさんになって半年。
ため息と“まあ、いいか”の繰り返し。
きのうも初めてのお客さんと3時間以上も立ち話。
好きな映画の話だから嬉しかったのか、それとも相手が若くて輝いて見えたのが羨ましかったのか、完全に商売を忘れていた。
これでは商売の神様もあきれてそっぽを向くのは当たり前。
帳簿をながめてホッと短いため息。
まあ、いいか。
夜、ヤケに大きく響くシャッターの音に思わず手を止めて空を見上げた。
明日、天気かなあ・・・。

遠藤さんがシャッターをシャワーと読み違えて、すぐ訂正して読み続けていました。
永さんがそのことをからかいながら、
「まあ、文章の中に何度も“まあ、いいか”があるから“まあ、いいか”」
「“まあ、いいか”って“ベストを尽くした。まあ、いいか”という意味合いがあるよね」と
会話が弾んでいて、今聴いても嬉しくなります。

放送に採用されると、二人の似顔絵にサイン入りの葉書が送られてきました。
今思えば、あの一筆書きのような似顔絵は和田誠さんが書いたもののような気がしてきました。
どこかにあるはずなのですが、確かめようがありません。

永さんの生き方は私の憧れでした。
奥さんが亡くなられたことを最近知りましたが、時々耳にするラジオの永さんは昔と変わらず元気でホッとしています。

この頃から、すでにブログのタイトルに繋がるような文章を書いていたのですね、私は・・・。

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