月とキャベツ
「月とキャベツ」 製作:1996年/西友、エース ピクチャーズ
監督:篠原哲雄 原案:鶴間香(さっぽろ映像セミナー入選作) 脚本:篠原哲雄・真柴あずき 音楽:山崎まさよし 主題歌: 「One more time,One more chance」 出演:山崎まさよし 真田麻垂美 鶴見辰吾 ダンカン *平成8年度 文化庁優秀映画作品賞受賞 |
時にはこのような作品も観ています。
ミュージシャン・山崎まさよしの初主演作品です。
あらすじ・・・
ミュージシャンの花火(山崎)はバンドを解散し、田舎の廃校に住み、キャベツを育てたりして暮らしています。
スランプで曲を作れない彼の前に、ファンだと言うバレエの好きな少女が現れます。
彼女の名はヒバナ・・・。
最初はうっとうしく感じていた花火も、彼女の自然な姿に接して一緒に暮らすことになります。
畑のキャベツの葉を“鳥の羽ばたく音みたい”と振るわせてみたり、草原で花火のハーモニカに合わせて踊ったり、鳴らないオルガンを外に出して弾いてみたり・・・。
不思議な優しい時間をともに過ごすうちに花火は曲を作り始めます。
そして、彼女は・・・。
山崎まさよしという人を認識したのは、テレビドラマ「奇跡の人」(1998年・日本テレビ)です。
それまではスマップに「セロリ」を提供した人ということぐらいしか知りませんでした。
「奇跡の人」は、事故で8歳の子供と同じようになってしまった若者役ということもあって、主題歌の「僕はここにいる」とともに印象に残っています。
そのドラマの第1回と第2回を録画していましたので、今回ちょっとだけですが観てみました。
状況は違いますが、草なぎ剛さんの「僕の歩く道」やユースケ・サンタマリアさんの
「アルジャーノンに花束を」と比べてみると、演技をしているようには見えません。
上手下手は別にして、あまり作りこんでいない感はありました。
ここで、「月とキャベツ」のネタバレです。
ヒバナは、バレエコンクールに出席のため東京へ向かった日に台風により亡くなっていたのです。
彼女は亡くなる時にもウォークマンで花火の曲を聴いていました。
「花火の曲を聴くと“生きていていいんだ。まっすぐでいいんだ”と思う」と日記に書き残しています。
これは何とも切ないですね。
ずっと昔に置き忘れてきたモノを思い出させられたようで、つい感傷的になります。
以前確かに観ている作品なのに、この大事な部分(ヒバナの正体)をすっかり忘れていました。
鶴見辰吾さんが花火の友人のカメラマン役で出演しています。
彼がヒバナの正体を知って、花火には話さず彼女に語りかけるシーンがあります。
難しいシーンだと思います。
花火とヒバナだけのシーンならばファンタジーで片付けられますが、観ている側に違和感を感じさせないように演じなければならなかったわけですから・・・。
友人と少女への思いやりに溢れていて自然で、大人の俳優さんになったのだなあと何だかしみじみとしてしまいました。
この作品にこんな設定は必要だったのかなあ、とも思いました。
ひと夏、若者が少女に出会って再生していくというストーリーだけでよかったような・・・。
それでは、単純すぎてドラマになりませんかね。
私などは、緑に囲まれて風を感じながら暮らす二人を観ているだけで癒されますが・・・。
ラスト間近に、ピアノの前での静かなラブシーンがあります。
初々しく清々しく、そして痛々しい。
花火のみが事実を知らない・・・。
このシーンには音や音楽が入らず、こちらはジッと見守るだけ、それだけによけいに切なくなります。
今朝、ラジオでアンドレ・ギャニオンの「静かな生活」というピアノ曲を聴いたのですが、このシーンにピッタリかもしれないと思いました。
初めて耳にする曲ですが、とても爽やかで綺麗な曲です。
そういえば、「ゴースト ニューヨークの幻」(1990年)という映画がありましたが、同じような設定でも印象はまったく違っています。
音楽で盛り上げに盛り上げていて、何しろその後パロディにされたりしましたし・・・。
「One more time,One more chance」が主題歌に使われていたことに今回初めて気がつきました。
何だかこの映画がこの曲のためのプロモーション映画に思えたりして・・・。
以前のNHK「トップランナー」(1999年)のゲスト出演時に、この曲へのファンの反応が熱くて驚いた記憶があります。
その時に聴いて感動した覚えがあるのですが、この作品と結び付けられませんでした。
そういえば、当時の「トップランナー」はゲストの魅力を引き出すのが上手でした。
おしゃべりが苦手で初々しかった上川隆也さんなどの回はいまだに覚えています。
MCは大江千里さんと益子直美さんでした。
「月とキャベツ」のラストは、一度去っていったヒバナが花火の前に現れ「One more
time,One more chance」のピアノ演奏に合わせてバレエを踊ります。
踊り終わったヒバナの微笑みのアップ、そして月のアップで終わります。
この作品で印象に残ったセリフ
“私には永遠に花火の曲が残っている”というヒバナに“永遠なんて死んでからわかることだろう”という花火の言葉。
この時点で彼は事実を知らないのですが、そこだけ切り取ったように印象に残ります。
こういう作品を観るのは少々気恥ずかしさがあるのですが、若者の純な部分を観られるのはホッとしますし、それを少しは感じ取れる自分にもホッとします。
月とキャベツ 山崎まさよし, 真田麻垂美, 鶴見辰吾, ダンカン, 篠原哲雄 by G-Tools |
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