アンタッチャブル
「アンタッチャブル」 1987年/アメリカ映画
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監督:ブライアン・デ・パルマ 脚本:デビッド・マメット 撮影:スティーブン・H・バラム 音楽:エンニオ・モリコーネ 衣装:ジョルジュ・アルマーニ キャスト:ケビン・コスナー(エリオット・ネス) ショーン・コネリー(ジミー・マローン) アンディ・ガルシア(ジョージ・ストーン) チャールズ・マーティン・スミス (オスカー・ウォレス) ビリー・ドラゴ(フランク・ニティ) ロバート・デ・ニーロ(アル・カポネ) |
*アカデミー賞助演男優賞受賞(ショーン・コネリー)
*パラマウント映画創立75周年記念作品
★一言コメント★
イイ男(=俳優)を集めて、監督が余裕で楽しげに作り上げた映画のように感じています。
★あらすじ★
1930年代、禁酒法が布かれていたアメリカ。
シカゴの警察に財務省特別捜査官エリオット・ネス(コスナー)が赴任します。
ネスは密造酒を扱い暗黒街の帝王と呼ばれるアル・カポネ(デ・ニーロ)の逮捕を目指しますが、警察内部に密告者がいて失敗します。
そこで信頼できるベテラン警官マローン(コネリー)や若くて正義感の強い射撃の名手ストーン(ガルシア)そして本省の部下ウォレス(スミス)を味方につけチームを結成し、“アンタッチャブル(買収できない)”と呼ばれるようになります。
カナダ国境、そしてユニオン駅での銃撃戦・・・。
一人、又一人と仲間を失いながらも苦難を乗り越え、カポネを裁判へ・・・。
★おすすめポイント★
・当時、大好きで繰り返しビデオを観て楽しんでいました。
それでも忘れていることが多いものです。
・オープニングから洒落ていて格好いいです。
モリコーネのワクワクするような音楽に合わせて何かの影が映り、それが次第にタイトル「THE UNTOUCHABLES」の文字であることがわかります。
暗転して、真上から見下ろすショット、髭をあたってもらうためにタオルで顔が覆われているカポネと取り巻く記者たちが映ります。
それだけで、もう映画に引き込まれてしまいます。
・ケビン・コスナーは、理想と情熱に溢れている青年捜査官がピッタリでした。
家族や弱い人に寄せる愛情とか、まだ残る青さからマローンに導かれて次第に強くたくましくなっていく姿とかが・・・。
この頃から「フィールド・オブ・ドリームス」(1989年)あたりまでがよかったような気がします。
アカデミー賞の作品賞・監督賞を受賞した「ダンス・ウィズ・ウルブズ」(1990年)も観ていますが、バッファローの大群以外にあまり印象が残っていません。
・ショーン・コネリーは、この作品から本当に魅力的になりました。
007シリーズは大好きでしたが、彼というより作品の魅力でした。
この作品からのコネリーは人間くさくて素敵です。
カナダ国境での待ち伏せで、打ち合わせより早く騎兵隊が動いてしまい、あわてて攻めて行くシーン。
“いつかは死ぬんだ”と馬に乗り青空をバックに笑うコネリーは格好良かったです。
頭が薄くてこんなに魅力的な俳優はいないのではないでしょうか。
中年男性の美意識を変えた人だと思っています。
日本でも遅ればせながら、西村雅彦さんとか高橋克実さんとか魅力的な俳優さんが出てきています。
・アンディ・ガルシアは、この作品が初見でした。
ユニオン駅でのシーンが格好良くて、他の出演作品もいろいろと探してみたものです。
「800万人の死にざま」(1986年)は悪役でキワ物っぽかったのですが、一番強烈な印象が残っています。
・ロバート・デ・ニーロは、もう迫力満点でした。
演技が好きでのめり込み過ぎて、それだけにどんな役でも引き受けてしまって、そのせいか代表作は昔の作品になっていそうな気がします。
最近の作品を観ていないので正確かどうかわかりませんが・・・。
イギリスの俳優マイケル・ケインがそのタイプなので、そういう姿勢は個人的には結構好きです。
マイケル・ケインの“アカデミー賞の授賞式に欠席をして、どこかの島でB級映画のロケに参加していた”というエピソードが大好きです。
・音楽のエンニオ・モリコーネは、いったい何歳なのか不思議に思うほどに昔から活躍しています。
マカロニウエスタンから大作まで幅広くスケール感があり、それでいて彼だとわかり、何より映画への愛情を感じさせる作曲家だと思っています。
・アルマーニの名は、この作品で知りました。
ファッション・オンチの私でも、コスナーが着たスーツやコートの上質さに目を奪われたものです。
・デ・パルマ監督は、この頃までは“凝り性でマニアに受けるけれども途中で破綻をきたすような作品作りをしている”と言われていたものです。
それが、この「パラマウント映画創立75周年記念」と謳われた作品で大向こう受けする娯楽映画も作れるのだと認めさせた、とも・・・。
それにしても、全編に監督が好きな撮影方法を駆使しているようです。
オープニングから、そしてあの祝杯を挙げる4人のテーブルの周りをぐるぐる回るカメラ、マローンをねらう殺し屋の視線そのままに揺れ動き回るカメラ、ネスに突き落とされるニティと並んで落ちていくカメラなど・・・。
カナダへ向かう時に列車の窓に見せて、カメラを引くと実は飛行機だったというシーンも・・・。
・有名なユニオン駅の階段での銃撃戦シーン。
エイゼンシュテイン「戦艦ポチョムキン」(1925年)の“オデッサの階段”へのオマージュだということは有名な話です。
私は、それを知ってから本家の方を観たものです。
今回初めて、列車での銃撃シーンの予算が無くて階段のシーンとしたというエピソードを知りました。
この映画で一番のクライマックスシーンです。
ただ、今回観ても巻き添えになった船員さんたちがいたのが、何となく重い気持ちになりました。
その前の、ネスが階段上から乳母車のお母さんを見ながら迷っているシーンがやたら長く感じたのですが・・・。
・マローンが語る印象的なセリフもたくさんあります。
“毎日生きて家に帰ること。警官の心得第1条”
“試合は最後まで戦うことだ”
ネスはそれらをラストで使います。
マローンは、ネスにとって人生の師のようなもので、黒澤明監督の「七人の侍」(1954年)の志村喬さんを思い出しました。
そういえば、カナダでの初めての銃撃戦を前に落ち着かなく見えるネスに“始まるのを待ち構えることはない。何が起きるか見てればいい”というセリフもありました。
当時、このセリフを何度か自分に言い聞かせていたことがあります。
どんな状況だったか忘れてしまいましたが・・・。
・これだけの凄惨な戦いを続けてのラストシーン。
“禁酒法が撤回されるようですね。どうします?”との記者の問いかけに“一杯やるよ”との返事を残して街へ消えていくネス。
格好良すぎて、それでも万感の思いが伝わってくるシーンでした。
・そのネスがそのままビル街の人ごみにまぎれていくシーン。
ラストクレジットが流れる前、暗転する瞬間にかなり遠くの横断歩道でコケそうになっている人がいます。
当時、マニアックな人たちの話題になっていたことを思い出し、目を凝らして見てみました。
確かにその通りで、最後に来てホッと笑えました。
・豪華大作で今観ても凄惨なシーンやケレン味たっぷりのシーンなどがありますが、現在のお金も技術も充分にかけている作品と比べたら意外にシンプルな娯楽作品になっているのではないかと感じました。
時代の流れでしょうか。
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