アヒルと鴨のコインロッカー
監督:中村義洋
原作:伊坂幸太郎 *第25回吉川英治文学新人賞受賞
音楽:菊池幸夫 *テーマ曲:ボブ・ディラン「風に吹かれて」
脚本:中村義洋 、鈴木謙一
出演:濱田岳 瑛太 関めぐみ 大塚寧々 キムラ緑子 なぎら健壱 松田龍平
★一言コメント★
「いっしょに本屋を襲わないか」のセリフがずっと気になっていた作品です。
★あらすじ★
大学入学のため仙台に引っ越してきた椎名(濱田岳)は、奇妙な隣人の河崎(瑛太)と名乗る男に出会います。
初対面だというのに河崎は、同じアパートに住む孤独なブータン人留学生に広辞苑を贈るため、本屋を襲おうと奇妙な計画を持ちかけます。
断りきれなかった椎名は、モデルガンを持って手伝いをさせられてしまいます。
その後、河崎やペットショップの店長をしている麗子(大塚寧々)から2年前の話を聞かされることになり・・・。
★おすすめポイント★
・こちら仙台在住の人気作家・伊坂幸太郎の同名小説の映画化。
舞台も仙台ということでロケが行われました。
おかげでこちらのテレビでは、公開前からDVD発売まで何ヶ月もの間延々とスポットが流れ続けていました。
瑛太さんの「いっしょに本屋を襲わないか」のフレーズが耳についてしまって、若者向けだろうと思いながらも、ずっと気になっていた作品です。
・実は、登場人物が入れ替えてあってストーリーが進んでいて、後半それがわかってから、こちらの頭の中で実際の人物関係へ切り替えるのが大変でした。
丁寧に実際の関係に入れ替えてのシーンが再現されてはいるのですが、混乱したままで観終わってしまって、このあたりがこちらの年齢的なものでの理解力不足かとちょっとショックだったりしたものです。
結局、2度観しましたが・・・。
・耳についたフレーズのインパクトがあり過ぎて、とても理解が出来ない若者の話だろうと想像していたのですが、違っていましたね。
私たちにもあったあの時代、将来への不安と希望があって、ほんの少し希望が勝っていて、でも現実もあって・・・。
その空気感が伝わってきて、ボブ・ディランの「風に吹かれて」も流れて、静かに観ていると眩しくて哀しくなりそうで・・・。
映画に漂う哀しさへの実感、それは世代が違っても一緒ということでしょうかね。
・瑛太さん、テレビで大河ドラマ「篤姫」などを観ても何も感じなかったのですが、若いのにとても存在感のある人だと思えました。
映画とテレビを分けるつもりはありませんが、この印象の違いって何だろうと不思議でなりませんね。
・凄かったのは、出演シーンが少なかったのにインパクト大だった松田龍平さん。
あの若さなのに、存在そのものに圧倒されました。
車の中で亡くなるシーンには、つい泣けそうになりましたね。
・濱田岳さんの作品を初めて観ました。
つい最近終わったドラマ「浪花の華~緒方洪庵事件帳~」(NHK)の洪庵役・窪田正孝さんとイメージがダブってしまいました。
この映画では、つい振り回される主人公役ですが、その若者の自然な姿に和まされました。
・以上の3人の俳優さん、ともに映画で伸びていってほしいと、つい思ってしまいました。
・ボブ・ディランの「風に吹かれて」が重要な役割で使われ、たびたび聴かれますが、ある時代の若者、特にミュージシャンに大きな影響を与えた曲であったことを久しぶりに思い出しました。
・ブータンの人々の風習や考えが紹介されています。
「ブータン人は死ぬのが怖くない。生まれ変わりを信じているんだよ。死んだ人間はみんな生まれ変わる」のセリフとか・・・。
印象的だったのは、瑛太さんが弁当屋さんの旗を見ながら語る話。
「経文を書き込んだ旗が風の通り道に何本も立っている。風にはためくたびに経文を一回読んだことになる」
以前、ドキュメンタリー番組で、荒涼とした大地にその旗がはためいている映像を観たことがあります。
何とも寂しく厳しい光景で、忘れられませんね。
それを思い出すと、よけいに瑛太さん演じる役に感情移入してしまいそうです。
・ラスト、ブータン人の彼は犬を助けに飛び出すけれど、どうなるのだろうと・・・。
考えたくないと思いながら、切なくなって本屋へ向かってしまいました。
ラストだけ読んでみたのですが、少し違っていましたが、小説は小説らしくやはり感覚的には同じでした。
映画は映画、小説は小説として作品的には違うものでしょうから、もう少し落ち着いてから読もうと思っています。
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