石を見る人、そして売る人「無能の人」
近くに広瀬川(仙台市)があり、毎日のように散歩しています。
いつものコースには、川の水を少し引き込んだ形で、コンクリートで出来た「じゃぶじゃぶ池」という人工池があります。
子供たちの水遊び場として作られたようですが、いまだにその存在の意味がよくわからないのですが・・・。
珍しく干上がったそのコンクリートの底を歩いていたら、渕に腰掛けて背中を丸めて何かをしている若者を見かけました。
よくよく見ると、小石を細長いルーペのようなもので熱心に覗いていました。
脇にも、バラバラな形の2、3個の小石。
興味があって、声を掛けたかったのですが、自分の世界に入っているような雰囲気があって出来ませんでしたね。
いろいろな人がいるんだなあ、というのが感想・・・。
風が強いけれども、気持ちの良い青空に僅かに薄い雲。
交通管制のヘリのバタバタという音に、高く舞う鳶の声。
体調の悪さが、一時解消したような気持ちの良い日となりました。
石を見る光景から突然のように思い出したのが、竹中直人さんの映画「無能の人
」(1991年)。
つげ義春さんの漫画を竹中さんが初めて監督をし、主演もしていて、とても評判の良かった作品でしたね。
かつては漫画家だったものの時代に取り残され、商売に失敗して、多摩川の河原で石を売る男が竹中さん演じる主人公。
彼とその家族(奥さん役は風吹ジュン)を中心に、現代社会から落ちこぼれた人々が温かな視点で描かれていました。
ただの拾った石ですから、売れるわけもありません。
人々の関係もちょっと不思議で、物語の展開も切ないのだけれども、間延びした感じがあり、どこかほっこりさせる映画でした。
そんなことを思い出しながら歩いていたら、その若者に追い越されていました。
特に石は持っていなかった代わりに、黒い上着の背中には何かを拾う人の絵が描かれていて、何だかよけいに謎が深まりましたね。
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