古代史ドラマスペシャル「大仏開眼」後編
古代史ドラマスペシャル「大仏開眼」後編
NHK総合 4月10日放送
正直言えば、前編は途中で眠気が出たりしていたのですが、今回は集中して観てしまいましたね。
特に、一人対一人の対峙シーンが印象的でした。
敵対する相手とのシーンでも静かで、観入ってしまうことが多かったですね。
聖武天皇(國村隼)と行基(笈田ヨシ)との、泉橋院での対面シーン。
戦いを避けて平城京を出たものの、恭仁京の国作りが進まない。
行基の力を国作りにと考える真備(吉岡秀隆)の計らいで逢うことになる二人・・・
遅れたことを侘び、優婆塞たちに僧侶の身分を与えること、そして大仏造立への力も借りたいと頭を下げる天皇。
國村さんが威厳を持ちながら、国を思い民を思う気持ちで悩む天皇を静かに演じています。
いろいろな役をこなす俳優さんですが、人間的な天皇を演じて、素晴らしいです。
夕べの映画「半落ち」(2004年)の弁護士役ともまったく違っていました。
同じ泉橋院での、真備と藤原仲麻呂(高橋克典)。
安積皇太子を暗殺した相手を調べに来た真備に、あくまで犯人は玄昉(市川亀治郎)であると言い切る仲麻呂。
戦わずして勝ったのは貴方だ、として、国が穏やかになるなら、と朝廷から身を引く真備。
都を平城京に戻し、大仏も平城京に作ることをすでに天皇に進言しています。
玄昉は仲麻呂によって九州へ流され、大仏を気にかけながら殺されます。
大仏造立が始まり、正月に語り合う行基と真備。
行基は、仲麻呂を大仏からもっとも遠い男と言い切り、真備に大仏を見届けてほしいと、玄昉もそれを望んでいたと・・・。
これまでの真備は、干ばつや疫病に苦しむ民の負担を考えて、反対していました。
行基は、九州へ行く前の玄昉とのやりとり、彼の様子を語ります。
「一番近い男はお前だ。何ゆえ道を間違えたのだ。そう言うと、玄昉は黙って泣き出した。私は言って後悔した。道を間違えて、初めて玄昉は仏に近づいたのだ。人とはそういうものだ」
大仏の造立場所へ向かう真備に浮かぶ言葉・・・
天皇「理屈ではない、大きな仏を見てみたい。民を癒す大仏を・・・」
行基「決めるのは数字ではない、皆の心じゃ」
玄昉「唐のように、貧しいものも救われる、大きな慈悲の力がいる」
真備の屋敷で、お忍びの阿部内親王(石原さとみ)と真備。
仲麻呂の勢力が強くなり、真備は九州、そして再び遣唐使として派遣されることになります。
ずっとそばにいると言ったのに、自分は天皇にはならない、と涙で訴える内親王に・・・
「大君になりなさい、必ず・・・。
今までご一緒した意味が無くなる。
学んだことをすべて教えた。
これまでのことは明日からのためにあった、とそう思える大君になっていただきたいのです。
それが私の誇りとなります。
私は遠くへ参っても、皇太子の近くにいます。
いづくにいてもおそばに侍しております。
どうかご安心ください」
「一生そばにいるか?」
うなづく真備。
「それならば大君になる」
手を差し伸べ、真備がそれに触れ、見つめ合う二人・・・そしてきびすを返して立ち去る内親王。
切なく、美しいシーンでした。
最初の方、綺麗な風景を背景に、二人が釣りをしながら行基のことを語り合うシーンがありますが、真面目な話の最後に「釣れました!」と騒ぐ真備に、思わず「Dr.コトー」か?とツッコミを入れたくなりました。
石原さん、可愛かったです。
こんなふうにベテランの俳優さんに囲まれて仕事が出来て、将来本物の大人の女優さんになるんでしょうね。
そして、クライマックスに向けての真備と仲麻呂のシーン。
内親王が孝謙天皇となり、大仏も完成したものの、仲麻呂は更に勢力を増し私物化が激しくなっています。
唐から戻った真備は仲麻呂を諌め、このままではいずれ孤立すると・・・また九州へ行け!という仲麻呂に何度でも戻ってくると・・・
それにしても、宮仕えは昔から大変だったと思わせられましたが・・・
「誰が良いまつりごとを行っても、干ばつは起きる。
貧しい者は地上から無くなることは無い」と言いながらも、夢に出てくる大仏に罰を受けているとも語る仲麻呂・・・
ただ一度の戦いを大仏に祈る真備に負けた仲麻呂は、まつりごとを託して亡くなりますが・・・壮絶な寂しい最後でした。
この人も道を間違えなければ、と思わせられる男を高橋克典さんが熱演でした。
真備はその後二代の天皇に使え、唐で学んだ律令政治を実践し、81歳の天寿を全うしたとのこと、その間大きな戦さは無かったと・・・。
吉岡さんが演じる役は悲劇的なものが多い気がするので、何だかホッとしました。
それにしても吉備真備って、学者であり、政治家であり、戦略家でもあったんですね。
中国や九州を何度も往復していて、その行動範囲、行動力に驚かされます。
坂本龍馬をちょっと思い出しましたが・・・。
あくまでドラマですが、良い勉強になりました。
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