「チェイス~国税査察官~」最終回“カリブの黒い薔薇”
土曜ドラマ「チェイス~国税査察官~」最終回“カリブの黒い薔薇”
NHK総合 5月22日放送
オープニングの映像が衝撃的で、覚悟を持って観始めましたね。
前回から1年後ということですが、その間にそれぞれがわかったことが多かったのでしょうか。
檜山基一(斎藤工)や歌織(麻生久美子)が、それぞれに春馬(江口洋介)と村雲(ARATA)の関係をかなり詳しく知っていることを前提の会話があったりして、驚くシーンもありました。
ただ、単にこちらが観逃していただけかもしれませんが・・・。
ヴァージン諸島で一見幸せそうな村雲と歌織・・・
復讐は終わっていないのかと、子どもを抱きながら村雲を責める歌織、そして言い争う二人・・・そのバックに流れるのがあくまで軽快な現地の曲風で、とても不似合いなのに格好よかったですね。
復讐も含めて、全て成功したはずの村雲の抱えているもの・・・そこから破綻していくわけですね。
誘拐事件が母親(りりィ)の自作自演であったことを知った上での、罪は無かった檜山父子への復讐というかたち・・・
それが、ただ“母親に褒められたかった”からではないか・・・
“えっ、そんなことで・・・”と思わせて、でも変にリアル感があったりしましたが・・・。
「本当に憎みたい人を憎めないあまり、世界中を憎み続けるのよ」と言う歌織の言葉がありましたね。
麻生久美子を検索
ヴァージン諸島に向った春馬と村雲の対決シーン・・・
血を見るのが苦手な私ですが、あれくらいの闘いが無いと、その後の不思議な友情とも人の情とも言える関係へと繋がらないのだろう、とは思いました。
「もうひとつの人生を想像してしまう。あっちとこっちの人生にどんな違いがあるんだ。抱きしめられる子、腕を切り落とされる子にどんな違いがあるんだ。わからない。だから、希望を持ってしまうんだ。見えたのかもしれない人生に・・・。人を狂わすのはいつもそういう希望なんだ。目を細めて見つめる希望の灯なんだ」
自動車事故から春馬に助けられ、母親に逢って、安らぎの人生が始まるかと思えた村雲の最後・・・何とも切なかったですね。
悪事を働いていたとはいえ、最後は一人の青年に戻っていましたからね。
ベンチで一人静かに死んでいる後ろ姿に泣けました。
代わりに母親に逢いに行った春馬は、拒否されたのに嘘をつこうと思ったのが、すでに村雲は死んでいた。
このあたりの春馬は江口さんがいつも演じる役のイメージに戻っていましたね。
この回になって、突然そのイメージが変わって、キレて怖い(でも人間的にも見えた)部分がありましたから・・・。
江口洋介を検索
結局、村雲は母親への想いも檜山父子へも想いも満たされることは無かったのが、何とも切ないですね。
それを、歌織や息子に向けていたら、また違った人生を歩めたんでしょうに・・・。
「四苦八苦」のひとつ「求不得苦」(求めて得られない苦しみ)を思い出しました。
ARATAを検索
村雲の母親のことがよくわからないまま終わりましたね。
なぜ餓死したことになっている?立派な家に住んでいるのは?警官だった谷山(平田満)との関係は?声だけ聴こえた娘は谷山の子?・・・
私が観逃したりしているのか、説明台詞を聴き逃したのでしょうか。
母親役のりりィさん、久しぶりに観ました。
土曜ドラマは、「リミット 刑事の現場2」「外事警察」(2009年)そしてこの作品と、重たいけれど見事なエンターテインメントになっているドラマが続いています。
もう目が離せません。
でも、個人的には、どうしても「ハゲタカ」(2007年)に気持ちが戻ってしまうんですね。
「ハゲタカ」が、ラストに向けて情緒的になってしまっているという意見が一部にありましたが、気持ちよく観終われたということが大きいような気がしています。
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