久木綾子さん、五重の塔再び「ラジオ深夜便」
「ラジオ深夜便」7月9日・午前1時台<列島インタビュー>
“五重塔、再び” 作家・久木綾子
久木綾子さんの「禊(みそぎ)の塔―羽黒山五重塔仄聞」が出版されました。
「見残しの塔―周防国五重塔縁起」では、89歳での作家デビューと話題になっていましたが、それに続く作品です。
90歳を超えてのパワフルな創作活動にただただ驚くばかりです。
作品のテーマの選び方や生き方の根本は、20歳の頃に修行した比叡山の生活があるんですね。
当時の修行の内容なども語っています。
四苦(*)を日常茶飯事として、更に自分の行をしなければならない、命がけで厳しい修行をしている人たちを見て、自分を清められる場所だと思い、今でも毎日その感動を味わっていると・・・。
(*)四苦を、「論(学問)出(出家)寒(寒い)貧(貧しい)」と説明しています。
耳で聴いただけなので、違うかもしれません。
“なぜ、五重塔なのか”という質問には・・・
何千という部品の数があり、それを自分たちで削って積み上げていく絶妙の技、それを修得して次に伝えていく人たちを尊敬し崇めたい、その人たちの息遣いを書いてみたい、と。
前回の瑠璃光寺の五重塔は天女が舞い降りたと表現されているが、今回の羽黒山の五重塔は谷底にあり、竜がうずくまっていて安泰の場所、荘厳さのある塔と語っています。
“なぜ、文献ではなく、実体験をして書くのか”
前回は宮大工の元で、何も知らないまま18年間修行をして書いたが、今回もこけら葺きを教えてもらえた。
自分が葺けそうになっていく、その過程が楽しかった。
楽しくなると、書けるのだ、と・・・。
好奇心があり、嘘をつきたくないし、いい加減な解釈で書きたくない。
技術を確認していくのが、楽しくて苦しくて魅力だから、と語っています。
“書くことは、塔を建てているようなもの?”
人間も、部品を組むようなもの。
遠回り、回り道をしたようなことが部品になって積み上げられていって・・・
読者からのたくさんの手紙で、自分の人生そのものも組み上げていかれたんだなあと、作品は自分とは離れない関係なものだから・・・。
次回作は、修行僧のことを題材にしたいとのことです。
惑星探査機「はやぶさ」が帰還の際、光を放って消滅していった姿のように、修行僧たちが最後に放った光芒のようなものを書いてみたいと・・・。
前回出演時とちょっと違い、なんだかものすごいエネルギーを感じさせて、早口で話し続けていた久木さん。
原稿の締め切りが近いと3時間しか眠らなかったり、徹夜などもするようです。
朝まで書いていても、9時ごろになると人が来たり、FAXが来たりするので起きないといけない、と・・・。
締め切りに遅れると「ごめんなさい、ごめんなさい。いつもご迷惑かけます。私の悪口たくさん言っていいです」と手紙を添える話には笑わせられました。
頭から書くことが離れないけれども、手間のかかる料理を作り隣人に分けたり、食事もきちんととっているとのこと。
朝晩仏壇に向かい、きちんと暮らしているところを見てもらっている。
書くエネルギーは、毎日仏壇に向かうことで、自分の根元はそこにあり、一日のエネルギーをそこからもらっている気がする。
お師匠さま、兄弟弟子、夫が必ず見ている、と語っています。
<久木綾子さん関連記事>
「ラジオ深夜便」久木綾子さん 2009.3.2.
「ラジオ深夜便」久木綾子さん再び 2009.4.27.
「ラジオ深夜便」久木綾子さん再び(2) 2009.4.28.
久木綾子さん、「禊の塔」発刊 2010.6.17.
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