闘病記を探す古書店店主・星野史雄さん「ラジオ深夜便」
「ラジオ深夜便」1月5日・午前4時台〔明日へのことば〕
古書店店主の語る命と人生(1) 古書店店主・星野史雄
“闘病記”を集めているという、古書店店主・星野史雄さんの話を興味深く聴きました。
星野さんは、「パラメディカ」というオンラインの古書店を経営しています。
“闘病記”を探し始めたのは、40代の奥さんを乳がんで失くしたのがきっかけとのこと。
本人も、昨年夏に大腸がんが肝臓へ転移をしていて手術を受けています。
現在、361種、2500冊の本を揃えていますが、それを集める苦労が語られています。
奥さんの闘病中に探したものの、大手書店、図書館、神田古書街で見つけることが出来ず、亡くなってから全国展開の新古書店で見つけることが出来た、と・・・。
“闘病記”は、タイトルではわからない、無名の人の自費出版が多いため探すのが大変なようです。
首都圏の新古書店をすべて網羅し、5、6年かけて探し歩き、結局実店舗をやっていられなくなった、とか。
探し出すことが楽しみにもなってきている、とも語っています。
退院後もすぐに再開したようです。
現物が無くても、図書館などの本も調べてきて、リストを作り、紹介をしています。
探し出した本は、ジャンルわけのためにも必ず読んでいるとのこと。
専門書や論文は難しいので、まず“闘病記”を入門書、基礎知識を得る手段として読むことから始めたら、と語っています。
病名を宣告されて、頭が真っ白になっている状態の患者さんには、患者の心理が読み取れる“闘病記”の方が詳しい・・・
3冊読めば、治療方法や、薬、後遺症など大体のことがわかるので、その上で医者に相談したりするのが良いのではないか、知った上で頑張るのが良いのではないか・・・
先の見通しがわからないのは辛いから・・・。
そう語る星野さんの言葉は、病気がちの私などには伝わるものがありました。
病院で病名を宣告された時は、医者にすがるしかない、でも心細さをわかってもらえない、そんな時には同じ思いをした人の体験を聞きたいのは自然なことですね。
“闘病記”もいろいろで、姉が亡くなった後に原稿を見つけた弟が出版した、など治って書かれたものではないものについても語られています。
すべて治った人たちが書いたものではないのですね。
インタビュアーの「治った人の闘病記を読みたいのが人情ですよね」に対して、星野さんの「忘れてはいけないのは、人間は必ず死ぬということがあるんですね」という言葉が印象に残りました。
毎日、日替わりの体調に一喜一憂していると、こんな言葉がこたえますね。
“介護記”を書いた男性のエピソードが、ちょっと衝撃的でした。
奥さんが亡くなった後に、「医者や看護師が気持ちをわかってくれないのは他人だから仕方ないけれど、あなたが何もわかってくれなかった」とメモが残っていたようです。
病院の食堂で一緒に食事をしたいと言ったのに、病院の食事は不味いからと断ったり、いろいろと選択するべき時にことごとく間違った選択をしていた、そんな後悔を綴った本だったようです。
このエピソードを紹介すると、どよめきが起きるようです、特に男性の・・・。
インタビュアー(男性)も声を出していましたね。
イラストなどがある“闘病記”として「かえるノート」が紹介されています。
最近は、40代以下の特徴として、マンガの“闘病記”もあるそうです。
「闘病記」は、本だけでは限界があるので、ブログやメルマガを読むなどのインターネットの利用を勧めています。
図書館に闘病記文庫を置こう、というプロジェクトもあるようです。
なお、乳がんなどの患者会は、世代別、独身者や子供がいる人などの別、など細分化されていて、より見合った情報などが得られる状況になっていることなども紹介されています。
星野さん、現在も抗がん剤治療を受けながら、本探しをしています。
星野さんのサイト ⇒ 「パラメディカ」
チャランポラン闘病記 << 著者:林家こん平
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