小説家を見つけたら
「小説家を見つけたら」製作:2000年/アメリカ映画
監督:ガス・ヴァン・サント
脚本:マイク・リッチ
撮影:ハリス・サヴィテス
キャスト:ショーン・コネリー ロブ・ブラウン F・マーリー・エイブラハム アンナ・パキン
〔あらすじ&みどころ〕
ニューヨークのブロンクス。
プロのバスケットボールの選手を目指す黒人の高校生ジャマール・ウォレス(ロブ・ブラウン)には隠れた文学の才能があった。
そんな彼が、アパートの部屋に引きこもっている謎の老人と知り合う。
40年前、ピューリッツァー賞に輝いた処女作一作だけを残して文壇から消えた幻の小説家・ウィリアム・フォレスター(ショーン・コネリー)だった。
二人の間にはやがて師弟関係のような友情が生まれ、ジャマールは文学の才能を開花し、フォレスターは長年閉ざされていた心を開いていく。
〔感想〕
震災後の今を暮らしていて、何か明るいもの、それも煩くなく自然に希望が感じられるものを、と思って、集めた中古ビデオの中から探し出したのがこの作品でした。
ガス・ヴァン・サント監督については、名前を知っていてずっと気になっていたものの、一度も作品を観たことはありませんでした。
観終わって、しみじみ観てよかったと思いましたね。
今の気分には、優しくて、癒されました。
もう、アクション物や恋愛物に感激できる世代でも無くなりましたし・・・。
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監督の前作「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」(1997年)と同じような作品のようですね。
そちらのほうが良かったという感想を持った人がいるようですから、そちらもぜひ観てみたいものです。
ショーン・コネリーがいいですね。
彼の007シリーズを観ていた世代ですが、こんなふうに良い歳の重ね方をするとは想像も出来ませんでした。
ちなみに007は、やはり彼の作品が一番良かったですね。
でも面白かったということで、彼に魅力を感じたかというと、ちょっと考え込んでしまいますが・・・。
何と言っても、「アンタッチャブル」(1987年)からですね。
ケヴィン・コスナー(彼も良かった)を助け、成長させていく老警官の役でしたが、その言動が何とも粋で、一言一言に人生の重みを感じさせました。
いまだにセリフを覚えています。
今回も彼のセリフの一言一言を聞きのがさないようにしましたね。
文学の才能を開花させていくジャマールと同じ感覚になって・・・
こちらには才能などまったくありませんが・・・。
“自分のために書く文章は、人に見せるための文章に優る”
下手にブログを書いている人間としては考えさせられました。
まず、既成の文章をタイプしていって、そこから自分の中に浮かんだ文章を打ち込んでいくという方法を教えていましたね。
何となくわかるような気がしました。
それが後で、ジャマールに重大なトラブルとして降りかかってくるのですが・・・。
師と弟子の関係になりながらも、友情のようなものが育っていく過程・・・
フォレスターが40年も引きこもってしまっている理由(兄の死)まで語られ・・・
その彼が、作品をコピーした疑いで退学の危機にさらされたジャマールのために、学校まで出かけていきます。
作文シンポジウムで、作品を読み上げるフォレスター(実はジャマールの作品)・・・。
声高に叫んだりしない、淡々とした情景の積み重ねに、惹き込まれて観てしまいました。
ジャマールが、学校から交換条件のように出された優勝がかかったバスケットの試合で、フリスローに失敗した、その真意さえも理解して、フォレスターが夜の街に自転車で出かけるシーンは感動的でした。
何十年ぶりかの一人での外出ですから・・・。
それにしても、あんなふうに、いちいち手で方向を指示するものなんですか?
フォレスターのラストシーンは、シンポジウムの帰り、街中の車の間を自転車でスイスイ通り過ぎていく後姿でした。
そしてネタバレです。
ジャマールと交流することで、心を閉ざしてきた人生に向き合うようになったフォレスターは故郷のスコットランドへ旅立ちます。
その後、ジャマールを弁護士が訪ねてきます。
フォレスターの死を告げ、彼の遺品を渡します。
40年ぶりに発表する彼の原稿には、序文にジャマールの名前が載っています。
そして、フォレスターが何十年も眺めていた窓からの光景(少年たちがバスケットをしている)は、部屋を譲り受けたと見られるジャマールに引き継がれたようです。
ちなみに、弁護士役でマット・デイモンが登場しました。
アッと驚きましたが、「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」の関係を考えれば、友情出演のようなものと納得が出来ますね。
ラスト・クレジットに流れるのは、「虹の彼方に」から「この素晴らしき世界」へと繋がるレゲエ風の音楽でした。
よろしかったら、こちらもどうぞ。
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