「高峰秀子の流儀」を読み終えました。
「高峰秀子の流儀」(斎藤明美著・新潮社)をやっと読み終えました。
声が出にくいので、リハビリを兼ねて、少しずつ音読を続けてきました。
スローペース過ぎて、最初のほうは忘れてしまうほどの読書でしたが・・・。
タイトルどおり、昨年亡くなった高峰秀子さん(女優、エッセイスト)について書かれています。
著者の斎藤明美さんは、フリーの記者。
高峰さんとは仕事で知り合い、その後家族同様の深い付き合いをするようになった方です。
高峰さんは、5歳の時に、養母の元で子役としてデビュー。
小学校へも満足に通わせてもらえない状況で、親戚十数人も養うことになる高峰さん。
養母との確執のエピソードは驚くばかりでした。
50年の時を経て、55歳で高峰さんは女優を引退しています。
あれほどたくさんの名作と呼ばれる映画に出演しながら、“女優の仕事が嫌いだった”と言い切っています。
その後エッセイストとして活躍し、名文家とも言われています。
高峰さんは、幼い時から本を読み続けていました。
勉強をする機会も奪われていた高峰さん・・・
後に結婚した松山善三さん(映画監督、脚本家)から“辞書”という便利なものがあること、その引き方を教えてもらったエピソードは胸を打ちました。
それまでは、読めない字は新聞などで同じ字を探して、読み方を知ろうとしていたようです。
引退を覚悟でのパリ行き、まだスタッフでしかなかった無名の松山さんとの結婚・・・
すべてを、高峰さんは一人で決断し、障害を乗り越えて、成し得ていきます。
読み進めるたびに、その強さに圧倒されるばかりでした。
決してブレない、その目の確かさにも・・・。
松山さんとの結婚がもたらしたものの大きさは計り知れなかったようです。
その後の充実した、安らぎの生活は亡くなるまで続いたようですから・・・。
“動じない” “求めない” “期待しない” “振り返らない” “迷わない” “甘えない” “変わらない” “怠らない” “媚びない” “驕らない” “こだわらない”・・・
この本の各章のタイトルです。
これを見ただけで、高峰さんの人物像がわかる気がします。
斎藤さんが、高峰さんを“かあちゃん”と呼ぶほどに家族のような生活を送りながら、彼女を見つめ、インタビューをしながら書き上げたものです。
引退した時に、家を小さくして、たくさんの受賞トロフィーを捨ててしまった・・・
決して、自分から人を誘うことはしない・・・
以前から、高峰さんのそんなエピソードが印象に残っていました。
このあたりのことも、詳しく書かれていました。
“物への執着は捨てて、物にまつわる思い出だけを胸の底に積み重ねておくことにしよう”
“人の時間を奪うことは罪悪です”
ホテルの喫茶室で取材を受けていて・・・
午後の時間、ケーキやコーヒーなどを飲食し、笑顔でおしゃべりを楽しんでいる中高年の女性たちを見て、“家に帰って、本でも読め”とポツリと語ったという高峰さん。
たくさん本を読もう、と思いましたね。
最近、テレビなどで40歳代前後の女優さんの活躍が目立ちますね。
オトコマエで、自信に溢れていて・・・
格好いいなあ、自由な時代だなあ、などと、結構こちらも楽しんで観ていたのですが・・・
不自由な時代、制約のある中で、常に自分を見つめ、他者を思い、凛として生きた高峰さんとつい比べてしまいます。
↓昨年、斎藤さんが「ラジオ深夜便」に出演した時、高峰さんが健在だった頃の記事です。
よろしかったら、どうぞ。
高峰秀子さんのこと 「ラジオ深夜便」 2010.5.6.
言葉の味、話の味~高峰秀子さんの流儀 「ラジオ深夜便」 2010.5.6.
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