「クローズアップ現代」和合亮一さん、福島を生きる
「クローズアップ現代」 福島を生きる 詩に刻む被災地の言葉
NHK総合 8月1日放送
和合亮一さんという詩人がいます。
福島の高校教師で、東日本大震災の被災者でもあります。
地震・津波の上に原発という甚大な被害を受けた福島・・・
震災の傷跡、放射能の恐怖と閉ざされがちな心の中を言葉で・・・
その被害と悲惨な体験を詩というかたちで記録しようとしています。
現地を歩き、撮り続けた1000枚を超える写真・・・
カメラにおさめると言葉が生まれてくる、人々の暮らしの中の声が聴こえてくる、と。
闇の中に浮かぶ“20キロ圏内立入り禁止”の電光掲示板の写真に、“私たちは日本の地図に空白部分が出来たことを感じながら、生きていかなけらばならない”と語ります。
“被災地で、生きるきっかけになるのは言葉だと思うし、沈黙があるがその先にあるのも言葉だ”とも・・・。
そうして、被災者へのインタビューも続けて、言葉を紡ぎ出しています。
外が全部真っ暗であることの恐怖を語る商店主・・・
避難所での会話で、強く返されて言葉が無くなってしまったおばあさん・・・
何でこの時代の、俺が生きているここなんだろう、という高校教師・・・
高校教師は、自分を取り戻そうという気持ちに変わった瞬間を聞かれ、“生徒ですね。必要とされているかどうかはわからないけれども、とにかく自分は必要としている”
番組では、和合さんの詩を始め、たくさんの印象的な言葉がありましたが、特に胸を打たれた言葉でした。
放射能を恐れて家に閉じこもっていた教師が、2ヵ月後に別の学校で授業を再開し、生徒たちと生き生きと過ごしている映像も紹介されています。
私たちは
確かめ合っている
笑い合っている
泣き笑っている
また合うことの出来た
嬉しさに
・・・ <和合さんの詩の一部>
和合さんの言葉・・・
“私たちの言葉、私たちそのものを語る言葉、これを取り戻さなければ、地に足がつかないまま生きていくことになると思うんですよ。地に足をつけて、心のよすが、よりどころを持って生きていくためには、僕は詩を書いているので、言葉なんだって確信しています。”
番組のゲスト、佐野眞一さん(ノンフィクション作家)は、いち早く被災地を訪問しています。
福島で、東電に言いたいことは?と尋ねたところ、餌が無くバタバタ倒れていく“牛の目を見てくれ”と言われた話には胸が詰まりました。
“言葉を失った体験を、言葉にしなければならない”
和合さんが残そうとしているものに、共感を示していました。
余談ですが・・・
昨日のローカルニュースで、宮城県庁での自衛隊の撤退式の様子を観ました。
自衛隊員の最後の一人が立去るまで、感謝の拍手がなり続けたということです。
自衛隊の活動を振り返った映像の中で、感謝の言葉を言う被災者を前に涙を流した幹部の方・・・
任務とは言え、想像を絶する作業の連続だったと思えるこの5ヶ月間が、言葉ひとつで済むものではないと思っても、それがちゃんと届いていることに感動しました。
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