映画「舟を編む」
映画「舟を編む」(三浦しをん原作)を観てから、だいぶ経ってしまいました。
原作本とごちゃごちゃの印象になってしまいましたが・・・。
映画館で偶然にやたら大きなポスターが目に入りました。
そこには、本棚を背景に松田龍平さんと宮﨑あおいさんが並んで真っ直ぐこちらを見ていて・・・。
松田さんがいつもの松田さんと違う・・・。
そこから興味を持って原作を読み始めたのでした。
読書感想などはこちらで。⇒ 「舟を編む」三浦しをん著 2013.5.16.
やはり、映像でなければわからないものってありますね。
辞書編集部室とか馬締(松田龍平)の下宿とか、こちらの想像を超えていました。
言葉の魅力、文字の魅力、そしてそれに憑かれた人たちの熱い想いが詰まっていて、何よりその揺るぎない空気感が素敵でした。
一人一人が頑固で愚直なまでに真っ直ぐで、そうでなければ15年もかけてひとつの辞書を作り続けられませんね。
映像だからできること・・・
大胆な省略とか、設定の変更とか、改めて読むことと観ることの違いを思い知らされました。
正直、膨大な言葉で表現されている長編小説を、2時間程度にまとめることの難しさも感じましたね。
「草原の椅子」(宮本輝原作)のときも感じたのですが、どんなによく出来た映画でも原作は後で読んだほうがよいと思いました。
個人的な考え方ですが・・・。
先に読んでしまうと、どうしても違いをチェックする姿勢になってしまいますし、観終わって良い作品だと思ってもどこかに物足りなさを感じてしまいます。
原作では、章ごとに描かれる中心人物が違っていますが、当然ながら、映像では馬締中心となってひとつの流れを作っています。
こちらは、原作本を松田さん、宮﨑さん、オダギリジョーさんあたりはそのままイメージして読んでいたので、何の違和感もなく自然に観ていられました。
監修担当の松本役が加藤剛さんとは意外でしたね。
なぜか勝手に、丸っこい感じで人の良さそうな、例えば田山涼成さんなどをイメージしていました。
田山さん、言語学者の役などやっていないかもしれませんが・・・。
契約社員・佐々木役で、久しぶりに伊佐山ひろ子さんを見られて嬉しかったです。
パンフレットで、松田優作さんと仕事をしていたことを語っている伊佐山さん、龍平さんを見る眼が優しいですね。
原作本の前半では、そのちゃらんぽらんさが目立った(後半、彼中心になったとき、それを逆転するイメージが素敵ですが)西岡役のオダギリジョーさん。
映画では軽そうに見えて、ちゃんと馬締をフォローし続けていて、終始良い感じでした。
辞書作り終盤に参加することになるみどり役の黒木華さんは、「草原の椅子」でも重要な役でした。
良い仕事に恵まれて、これからを期待されている女優さんなのでしょうね。
朝ドラ「純と愛」のヒロインの同僚で、真面目な優等生が豹変したときには驚かされましたが・・・。
馬締が香具矢(宮﨑)に初めて会うシーン、期待していた幻想的な雰囲気はなく意外にあっさりしていました。
西岡が宣伝部に異動になるときに残した資料(馬締が香具矢にあてたラブレターのコピーも含めて)をみどりが見つけるシーンは無かったですね。
両方とも結構好きなシーンでしたから、ちょっと残念でした。
でも、映像の流れにそぐわない(劇的なシーンは似合わない)、というより小説の方が印象深く残るシーンだったのだとは思いましたけど・・・。
どちらにしても、膨大な本に囲まれて、思いっきり言葉に浸れる、そんな世界にいる馬締が羨ましいですね。
それはもう、いつのまにか苦手な外交もこなせてしまっていますし・・・。
この作品に興味のある方、パンフレット(オフィシャルプログラム)が充実していてお薦めです。
全128ページで、シナリオも掲載されています。定価900円。
<鑑賞メモ>
映画「舟を編む」 2013.4.13.公開
監督:石井裕也
原作:三浦しをん「舟を編む」(光文社)
脚本:渡辺謙作
音楽:渡邊崇
出演:松田龍平 宮﨑あおい オダギリジョー 黒木華 渡辺美佐子
池脇千鶴 鶴見辰吾 伊佐山ひろ子 八千草薫 小林薫 加藤剛
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