半村良著「湯呑茶碗」を読書中
今、半村良さんの「湯呑茶碗」(扶桑社)を読んでいます。
かなり古い(平成3年初版)ものですが、意外にすんなり読めるのは、私自身がそれに合う世代だからということかもしれません。
ある郊外の、当時としてはかなり大きなマンションを舞台にして、住人たちの人間模様が描かれています。
部屋番号が章になっていて、他の住人と濃く薄く関わりながら、自然に舞台が変わっていって面白いですね。
そのまま舞台と話が移っていったままではなく、全体としてはそこかしこで繋がっています。
その分、誰がどこで登場したかわからなくなって、記憶力が無い私はあたふたしていますが・・・。
人それぞれに今置かれている状況も、これまでの人生も違っているわけですから、面白い描き方で、興味が尽きないです。
オムニバスのようでいて、ちゃんと住人が関わりあっているというのが、ぬくもりのようなものを感じさせます。
最初はタイトルの「湯呑茶碗」と印象の違う舞台だなあと思ったものですが、それぞれの家庭に様々な状況のシーンで湯呑茶碗が登場しています。
マンションの一室で、湯呑茶碗でお茶やお酒を飲むシーンはしみじみとしていて、納得させられました。
まだ読み終わってもいないのに、こうしていろいろと書けるのもいいですね。
それにしても、情景や登場人物の行動はもちろん、服装やちょっとした仕草まで描写が細やかで、これまでに無い読書感があります。
ひとつひとつを頭の中で映像化していては先へ進めない感じがして、ついスルーしてしまいますが・・・。
気になっているのは、まだ半分くらいしか読んでいませんが、誤植が多いことです。
音読をしているので、そのあたりは特に気がついてしまうのです。
現在だったら、こういう状況は無いでしょうね。
それほど、完璧な出版が当然のようになっていますから・・・。
逆に言えば、一時代前の本の中に誤植を見つけてはホッとしたりもしてします。
半村良さんの本はほとんど読んだことがありませんでした。
ただ、おぼろげな記憶ですが、確か大手の出版社と大量の本を出すという契約をしたというニュースがありましたね。
調べてみたら、「太陽の世界」(角川書店)全80巻を予定していたようです。
発行印税を80巻分一括で受け取ったという記事を見つけました。
残念ながら、半村さんは2002年に亡くなっていましたね。
亡くなっていたことを、今回初めて知りました。
太陽の世界〈1〉聖双生児 (1980年)
余談ですが・・・
毎朝10分、小説などの音読をしています。
声が出にくいためのリハビリのつもりですが、医者からは“加齢によるもので、効果は無い”と言われています。
そちらの効果は無いかもしれませんが、習慣になって良かったですね。
意外なことに、一日たった10分の読書で、積読の本が気持ちが良いほど片付いていきますから・・・。
僕らの青春 [半村良]
八十八夜物語(上) [半村良]
八十八夜物語(下) [半村良]
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