映画「地中海殺人事件」
「地中海殺人事件」 公開:1982年/イギリス映画
監督:ガイ・ハミルトン
原作:アガサ・クリスティ「白昼の悪魔」
脚本:アンソニー・シェイファー
音楽:コール・ポーター
撮影:クリストファー・チャリス
キャスト:ピーター・ユスチノフ ジェーン・バーキン コリン・ブレイクリー
ニコラス・クレイ ジェームズ・メイスン ロディ・マクドウォール
ダイアナ・リグ マギー・スミス
<あらすじ>
イギリスの片田舎で殺人事件があり、舞台は一転して地中海に浮かぶ小島のリゾート・ホテルへ・・・。
そこには、元大女優のアリーナと彼女に関係した人間が、それぞれに様々な思惑を抱いて集まっていた。
アリーナが殺され、たまたま別件で調査に来ていたポアロが事件を担当することになるが、全員にアリバイがあった。
この冬は全国的に記録的な大雪になったりと、異常な寒さが続いています。
そのせいでしょうか、急に観たくなったのがこの作品でした。
地中海の美しい景観と、あくまで明るく穏やかな陽光。
思い浮かんだのはそんなところだったんですが・・・。
これは、「ナイル殺人事件」(1978年)に続いて、ピーター・ユスチノフがポアロを演じた作品です。
エルキュール・ポアロは、原作では鋭利な頭脳を持つ、小柄でちょっと変人っぽい(「相棒」の杉下右京みたい?)人物ですよね。
テレビドラマのデビッド・スーシェは適役だったのでしょう。
「オリエント急行殺人事件」(1974年)のアルバート・フィニーは、かたち的には合っていても、周りが豪華すぎて人物像がいまひとつ見えませんでした。
オリエント急行殺人事件 スペシャル・コレクターズ・エディション [アルバート・フィニー]
大柄でユーモラスで、そして優しく人情味のある、とても“らしくない”ユスチノフのポアロが好きですね。
寒さの中、地中海の景観や陽光とともに思い出したのが、ユスチノフの巨体を揺らしてのんびり推理をしている姿でした。
水着姿で足だけ海につかり、空中で泳ぐ格好をして終わり、なんてお茶目なシーンもありました。
この作品は、「ナイル」や「オリエント急行」と比べると、B級感に溢れています。
そこが逆に好もしく感じてしまうんですが・・・。
有名俳優も揃っているんですが、やはりちょっと地味かもしれませんね。
「ナイル殺人事件」の感想などは、こちらで。
⇒映画「ナイル殺人事件」 2008.4.5.
ナイル殺人事件 デジタル・リマスター版 [ピーター・ユスティノフ]
大雑把に言えば、「ナイル」と同じような犯人ですが、こちらは同情の余地が無いのが、かえって気楽に観られます。
「ナイル」は、舞台が素晴らしかったこともありますが、犯人の想いが切なくて、記憶に残る作品になっています。
こちらは、ミステリーに徹したということでしょうが、偶然に頼っていると思える犯行は原作どおりなのでしょうか、ちょっと気にはなりましたが・・・。
殺人事件が起きているのに、海と空の青、明るい陽射し、そしてコール・ポーターの軽快な音楽「ビギン・ザ・ビギン」が流れて・・・。
さすがに古くて、画質的には望みどおりとはいきませんが、何とものんびり楽しめてしまう作品ですね。
アガサ・クリスティの世界、時代(いつ?)を感じさせるファッションも満載ですし・・・。
嫌な人間とは言え、元大女優・アリーナ(ダイアナ・リグ)が歌うシーンはムード満点で惹き込まれますし、ラストのジェーン・バーキンの変身も見どころでした。
さすがバーキンです。
ディ・ドゥ・ダー [ジェーン・バーキン]
でも、一番のひいきはホテルの女主人・ダフニを演じたマギー・スミスですね。
今回は、どこか下世話な感じがするコメディチックな役ですが、この人にはいつも品の良さを感じています。
どんな役も軽々と演じているように感じて、好きですね。
カルテット!人生のオペラハウス [マギー・スミス]
ホテルの宿帳の文字が謎を解くヒントのひとつになっています。
その宿帳をポアロがこっそりのぞくシーンがありますが、大写しになるとコール・ポーターと読めるサインがあります。
もちろん本人のものではないでしょうが・・・。
これは公開当時にも気がついていましたが、ほかにも有名人のサインがあったのかな、と気になります。
そんなくすぐり程度のお遊びが好きですね。
この作品を観た後しばらくは、頭の中でコール・ポーターの「ビギン・ザ・ビギン」が繰り返し再生されたものです。
JAZZ THE BEST 91::ボス・オブ・ザ・バラード~プレイズ・コール・ポーター [イリノイ・ジャケー他]
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