映画「リトル・フォレスト 夏・秋」
「リトル・フォレスト 夏・秋」 公開:2014年
監督:森 淳一
原作:五十嵐大介
撮影:小野寺幸浩
音楽:宮内優里
出演者:橋本 愛 三浦貴大 松岡茉優 温水洋一 桐島かれん
<あらすじ>
東北のある小さな集落、小森。
いち子(橋本愛)は、一度は都会に出たものの自分の居場所を見つけられず、ここに帰ってきた。
近くにスーパーなども無い、自給自足に近い暮らし。
稲を育て、畑を耕し、周りの野山で採った季節の食材を恵みとして、毎日の食事を作り暮らしている。
まず目に入るのが、雨が多いという村の煙るような景色。
夏から始まるので、緑が本当に深く瑞々しい。
それだけで癒されてしまったものです。
それにしても何も起きない映画を、こう続けて観るとは思いませんでしたね。
数日前に、小泉今日子さんや小林聡美さん、もたいまさこさん出演の「マザーウォーター」(2010年・松本佳奈監督)を観たばかり。
何十年も生きてきて、これほど何も起きない映画を初めて観ました。
こちらは、映像の美しさとともに、淡々とした展開(展開とも言えないですが)は、ほとんどドキュメンタリーのようです。
クールな美少女の橋本さんが農作業をする、という何ともミスマッチとも思えたのですが・・・。
無名の一般人だったら(それに近い女優さんだったら)、と考えると、何かが起きなければドキュメンタリーとしても成立しなかっただろうとも思いましたね。
毎日、汗を流しながら、作業をして、その時の恵みを工夫して食事を作ります。
そんなシーンの繰り返し・・・。
料理が苦手で、食事を面倒くさいと考えている私でも、つい惹き込まれて観てしまっていました。
登場人物は極端に少なく、ほとんどいち子のモノローグで進んでいき、途中に母(桐島かれん)との想い出(ほとんど料理のシーン)が挿入されていきます。
幼馴染の役で三浦貴大さんと松岡茉優さんが出演しています。
松岡さんは、今NHK土曜ドラマ「限界集落株式会社」を観ているので、あのままこちらにスライドしているような気にさせましたね。
あちらはいろいろと問題が山積みで、ドラマドラマしていますが・・・。
三浦さん演じるユウタも、一度は小森を出ています。
“空っぽの会話”が虚しくて戻り、親たちの生き方を再確認できたようで、いち子はそれを戦っていると称し、自分は逃げてきたのだと思っています。
村の人々と自然に交流しながらも、どこか定住できないような思いも抱えています。
リトル・フォレスト(1) [五十嵐大介]
リトル・フォレスト(2) [五十嵐大介]
村の人々、ほとんど中高年の女性ですが、その会話が自然で、私の故郷(宮城県北部)と同じ言葉でした。
他の地方の人たちは聞き取れたでしょうか。
なぜかいち子は鴨が好きと思われているらしく、合鴨農法が終わった鴨の一羽を何も言わずに胸に抱いて帰ってきます。
その鴨を解体して料理するシーンがありましたが、正直正視できませんでした。
それでも、“命をいただいている”ことを改めて思い知らされたシーンではありましたね。
働いて、食事を作り、食べ、自分と対話し、自分の居場所を探していくいち子。
しだいに季節が変わっていく美しい自然の映像に、淡々としたシーンの繰り返し・・・。
こちらはただただ観ているだけなのだなあ、というちょっと複雑な思いはありましたね。
だからといって、同じ暮らしができるわけではありませんが・・・。
ちょっと、ベニシアさんの「猫のしっぽ カエルの手」(NHKEテレ)を思い出したりしていました。
居場所を探している人と、居場所を見つけた人との違いはありますが・・・。
続編の「リトル・フォレスト 冬/春」は、現在上映中です。
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