「プレバト!!」夏井いつき先生の俳句コーナー
「プレバト!!」(TBS系)の俳句コーナーが好きで、欠かさず観ています。
俳句そのものへの興味ももちろんありますが、やはり夏井いつき先生の毒舌に魅力を感じていることに間違いは無いですね。
17日のお題は、“こたつと猫”。
唯一才能ありの第1位は、高田延彦さん。
“枯れ柳 風に踊れば 月笑う”
お題と写真からはかけ離れた、まったくイメージの違う俳句でした。
でも、先生がたびたび褒めるのは、そこから想像した世界を描くことですね。
高田さん、写真はカーテンが閉まっているが、外の風景を思い浮かべたとのこと。
部活の帰りとか、仕事帰りとか、寒空の中を帰る人たちがいて、それをお月様は優しく見守っている、と・・・。
夏井先生は、この句は3つの難しい作り方をしていると評します。
1.枯れ柳は冬、月は秋と、季重なり。
2.“~れば” は、一句の中で原因結果(~すれば~になる)を語っていて、俳句としては嫌われる。
3.“踊る” “笑う” と、擬人化が2つも入っている。
それでいて、一句が破綻していないので、大したもの。
ファンタスティックな一行の詩のような味わいがあって、直す必要は無し、と大絶賛でした。
そして、過去の成績優秀者による特待生昇格試験。
いつのまにか、こんなかたちになったんですね。
今回は、藤本敏史さん(FUJIWARA)。
先生いわく、ひらめきとか天才とかのタイプではない、とまず笑わせました。
次には、才能なしからコツコツひとつずつ学んで、身体に入れていっている、と褒めています。
本人は、努力などしていないと芸人らしく捻くれて、照れて、笑いをとって見せましたが・・・。
“独り酒 妻はこたつで 昏々と”
藤原さん、酒に弱い妻がこたつで眠ってしまい、自分は独り酒、という光景を・・・。
こたつという温かい季語と、独り酒という寂しい言葉とが、一句の中に相反する言葉なのに、物語・ドラマを構築することができるんだ、この人・・・とは、先生。
結果は、現状維持で、昇格ならず。
理由は、“一文字たりともおろそかにするな”
その説明に、俳句の奥深さを感じたものです。
助詞の使い方が問題。
“で” も “に” も、どちらも場所を表す助詞。
“で” は、後に動的なものが来た時に似合う。 例、“~で踊り出す”
“に” は、静かな静的なものが似合う。
“独り酒 妻はこたつに 昏々と”
“に” にすることで、静かな状況が生まれ、“昏々と” が生きてくる。
細かすぎる指摘に、つい口を出す藤本さんに、“「同じやん」とか言いやがった” と切って捨てた夏井先生。
俳句の奥深さをまたまた思い知って、ますます入っていけないような気がしたものです。
情けないですが・・・。
この “で” か “に” かの説明に感動して、この記事を書いたようなものです。
俳句だけではない、どんな文章を書くにも、とても大切なことだと思い知らされました。
基本なのでしょうが・・・。
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