映画「滝を見にいく」
「滝を見にいく」 公開:2014年
監督:沖田修一
脚本:沖田修一
撮影:芦澤明子
キャスト:根岸遙子 安澤千草 荻野百合子 桐原三枝
川田久美子 徳能敬子 渡辺道子 黒田大輔
<あらすじ>
幻の滝を見にいく温泉付き紅葉ツアーに参加した7人のおばちゃんたち。
頼りないガイドと一緒に、滝を目指して山登りを始める。
木の実を摘んだり、写真を撮ったり、おしゃべりしたり、それぞれの楽しみ方で山道を進む7人。
ところが、先を見に行ったガイドがいつまでたっても戻らない。
気が付けば、おばちゃんたちは山の中に取り残されていた! <公式サイトより>
見事に美しい紅葉の山の中で遭難するおばちゃんたち。
緊迫した展開のはずなのに、終始どこかのんびりゆったりとした空気が漂いっぱなしで、癒され続けたものです。
一番感動したのは、“普通”が描かれていたことですね。
おばちゃんたちが歩きながら、気の合う人、まだ打ち解けられない人など、自然にバラつきができていきます。
それぞれに会話をしたり、写真を撮るのに夢中だったり・・・。
その言葉がよく聞き取れません。
日常生活の中で、おばちゃんだからといって、常に煩い会話がなされているわけではありません。
映画やテレビドラマの会話が視聴者に聞き取りやすいものになっていて、それが不自然なことであったことがよくわかりました。
つまり作られているものが普通だと思い、それに慣れていたんですね。
日常の会話って、こんなものだったと思い知らされました。
行動だって、同じです。
パニックになるわけでもなく、意見の違いやちょっとしたいさかいはあっても、意外に淡々と進めていくのが普通なんですね。
今回のような遭難などという場合には、特に結束できたりするんですね。
長い経験から、それぞれに知恵を出し合っていて、生き抜くことのたくましさが自然に出てきていました。
何しろ、楽しんでいるんですから・・・。
全員で縄跳びをしたり、顔に葉っぱを付けて一列になって太極拳をしたり、草の茎を重ねて引っ張り合って勝負する遊び(懐かしい!)をしたり・・・。
不安な野宿の時には、落ち葉にまみれながら、全員で「恋の奴隷」を歌ったり・・・。
一番印象的だったのは、長年主婦をやってきた女性と、一見水商売の女性に見える美容師とのシーンでした。
いつもイライラしてはタバコを吸っている美容師は、泣きながら不倫相手に振られた話を打ち明けます。
主婦は、彼女の肩を優しく抱いて叩きながらも、どうしていいかわからずに自分の手作りのブローチを外してそっと付けてあげます。
最初のバスのシーンで、何気なく交わされた会話に出てきたものでした。
そのぎこちない優しさが胸に来ましたね。
その主婦を演じたのが、オーデションを受けた素人の方でした。
この作品を観る前に、素人の方が出演していることは知っていました。
どの人かな、とつい好奇心を持って、探しながら観たことは確かです。
あのぎこちない優しさの普通さは、素人かなとは思いましたが、よけいに感動しましたね。
主婦役の方のほかにも、ほとんど素人とともいえる方々がいて、それが自然なアンサンブルになっているのに驚かされます。
美容師役の方がプロとは思いましたが、それを壊さないように演じていて、さすがでした。
それにしても、誰一人として同じ個性、同じ生き方は無くて、それがアンサンブルになっているのが素晴らしいですね。
観終わって、とてもほっこりした気分が残る作品でした。
公式サイトには、出演者や演じた人物について、かなり詳しく紹介されています。
映画「滝を見にいく」公式サイト
おんなのかぶ~40過ぎたら、女はみんな同い年! ~
沖田 修一 古谷 充子
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