大河ドラマ「真田丸」第12回“人質”
大河ドラマ「真田丸」第12回“人質”
NHK総合 3月27日放送
何と言っても驚かされたのは、梅(黒木華)のしたたかさでした。
祝言前には妊娠していなかったようで・・・。
事の真相に唖然としているきり(長澤まさみ)に、嘘ではなく “ひとつの策” とサラッと言い切っています。
演技派といわれる黒木さんですから、陰湿な感じにはならなかったですね。
↑黒木華 出演
ネット上では、うざさで批判されっぱなしのきり(長澤まさみ)があっけにとられているのが、おかしかったですね。
彼女のほうが何だか可愛く感じたものです。
オープニングの信繁(堺雅人)とのシーンで、大人になりつつあり、同志のような雰囲気を漂わせていました。
こちらの記憶違いでなければ、彼女のほうが信繁との付き合いが長くなるらしいので、その始まりの時かなと思ったものです。
それにしても、徳川家康(内野聖陽)に “爪を噛むな” だけではなく、何気に“(裏切った真田を)おつぶしになったら” と言ってしまう阿茶局(斉藤由貴)も恐ろしいですね。
この時代、女性も強くなければ生き抜いていけない、と改めて思い知らされます。
今回は、主役が確かに信繁でしたね。
上杉の人質になるわけですが、尊敬する景勝(遠藤憲一)とはまるで相思相愛という雰囲気で、女性陣のしたたかさとは対極のシーンを観た気がしました。
父・昌幸(草刈正雄)が、信繁を人質にしたのはその成果によって正解だったとし、徳川との戦いには駒としての彼が必要だと後悔したり、と主役としての存在感がでてきましたね。
景勝は人間的過ぎて、これほどに自分の弱さを見せるなんて、戦国大名として大丈夫かと思ってしまったものです。
かなり下の家来に馬鹿にされるなんて、現代の組織社会の一部にも似て、悲哀を感じさせました。
景勝をサポートするのが直江兼続(村上新悟)で、彼がいなくては上杉家は立ち行かない感じさえしました。
真面目すぎる景勝に意見はするわ、代わりに陰で策を練っているわ、で凄いですね。
基本的には、絶対的に景勝を信じて支える姿勢があります。
「天地人」(2009年)は早々に脱落しましたが、妻夫木聡さんはこんな役をやりたかったんではないだろうか、とよけいなことを思ったものです。
村上さん、今回はかなりシーンが多くて、声だけではない魅力を発揮できましたね。
徳川との戦いに、真田に援軍を送りたいという景勝の思いを知っていて、“そうおっしゃると思い、領内から取り急ぎ戦えるものをかき集めました” と言うシーンがありました。
景勝をチラッと見て、信繁をほとんど無視しているようにして、語尾の “ましたーっ” は冷静だけど冷たくは無い、捨て台詞ふうで最高でした。
緊張感で盛り上がった「鉄火起請」のシーンは、結果が予想できてもハラハラしましたね。
今回のハイライトシーンでしょう。
信繁の見せ所で、ますます景勝の信頼を受けることになりましたから・・・。
面白かったのは、梅が産んだ赤ちゃんの演技?でした。
こっそり会いにきた薫(高畑淳子)の顔を見て泣き、母親・梅の顔を見ては泣き止むという、それもちゃんと相手の顔を見て、ですからね。
もちろん、演出や編集の妙味でしょうが、おかしいやらほっこりするやら・・・。
余談ですが・・・
今「スヌーピーと仲間たちの心と時代」(広淵升彦著・講談社)を読んでいます。
主人公・チャーリー・ブラウンの近所に住むルーシーという女の子に、きりのイメージがダブりました。
ルーシーはきかん気の猛烈少女で、がみがみとうるさかったり、弟・ライナスをすぐ殴ったりします。
ある夜、チャーリーとルーシーは星空を見上げています。
チャーリーに “あなたは幸運の星を持っていると思うわ” と言い、次には “その星は、今流れちゃったのよ” と言うルーシー。
ルーシーは残酷ともひどいことをしているとも思っていません。
ただ淡々と自分の心に浮かんだ思いつきを述べているにすぎないのです。
チャーリー・ブラウンの世界では、ルーシーは変わることなく生きていきますが、「真田丸」のきりはこれから大人になっていくんですよね。
どのように成長していくのか、ネット上のバッシングとも言える状況を覆していくのか、楽しみです。
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