益田ミリ著「今日の人生」を読む
図書館の返却棚(返却されたばかりの本を並べてある)で、目に入った本が「今日の人生」でした。
何気に、内容に興味が沸くようなタイトルでしたね。
益田ミリさんという名前も初めて知りましたし・・・。
イラストレーターと紹介されていますが、中身を見る限りは漫画家&エッセイストという感じですね。
コマ漫画で、すべてのコマのタイトルが「今日の人生」。
そして、そのコマが2コマだったり、10コマ以上だったり、不規則です。
そのおかげでかなりの余白があり、私などには読みやすかったですね。
用紙も3色と変化をつけてくれています。
何もかも、計算しつくされているようです。
間にエッセイのページもあります。
まず驚かされるのは、“わたし” 以外は一部を除いて丸と線で描かれていることです。
小さな子どもが初めて描くような、顔が丸で胴体と手足が線。
不思議なことに、読み進めていくうちに、そのスッキリさに癒されていきました。
何よりも魅力的なのは、日常の何気ない出来事だったり、ほんの小さな思いだったりを描いてくれていることですね。
共感することがたくさんありました。
初めて電車の中で小さく伏せている盲導犬を見て、わたしは誰かの役に立ったことはあるのだろうかと思った。
行列に並ぶと、がんばって前の人につめてみても、わたしの前はいつも通路になる。
電車に乗ったら太田胃散の袋が落ちていて、ちょっと寂しい気持ちになったがなぜだろうと考える。
ドトールコーヒーで、隣の年配女性3人組の1人の誕生日を耳にして、“おめでとうございます” と心の中で・・・。
漫画では実家の父親と喧嘩したり、その父との想い出をエッセイで綴ったりしています。
あったかいコロッケを買って、そのあたたかさに亡き父を想い心がゆれて、ベンチに座って一個だけ食べる。
そして歩き出す。大丈夫、大丈夫、大丈夫なのです。一日のほとんどは平気でいるのです。
「喪服はなにもないときに買うのがいいのよ」と言われて買ったものの、(中略)悲しみを買ってきたような気持ちになった。<エッセイより>
職業的に常に忙しそうなイメージがあります。
引用する小説の文章を探すために夜に本屋のハシゴをしたり、編集者などと会うシーンなどかなり描かれているのに、他の日常的なシーンとまったく変わらないで、ゆったりした空気が伝わってきます。
帰りにお惣菜など買ったりして、仕事と生活が自然に繋がっているからでしょうか。
久しぶりに心が癒される本を読むことが出来ました。
次に「言えないコトバ」(集英社)を借りてきました。
まだ途中ですが、これほどまでに “遠慮のかたまり” のような人がいるのか、と少々引き気味で読んでいます。
“おひや” “パンツ” から、 “ひとりごはん” “思ってたより” “元気だけが取り柄です” など・・・。
言えないわけが、エッセイと漫画で描かれています。
ちなみに “遠慮のかたまり” もそのひとつ。
この作者を知るには、良い2冊だと思いますね。
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