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童門冬二著「小説 上杉鷹山」を読む

 

 

童門冬二著「小説 上杉鷹山」を読み終えました。
例によって、夜布団に入ってからの1時間弱と、起床後20分程度の音読で・・・。
700ページ近いぶ厚い文庫本ですが、この方法だと何とか読めるものですね。

相変わらずの積読状態だった本の1冊でした。
取り寄せたのは、上杉鷹山と心身に障害がある奥方幸(よし)姫とのエピソードに惹かれたからです。
どんなエピソードだったか、忘れてしまうほどに時間が経ってしまいました。(笑)

ここまで、上杉鷹山について知っていたことは、“為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり” の言葉と、ケネディ大統領が尊敬していたというエピソード程度ですね。
だいぶ以前に、筒井道隆さん主演のドラマ「上杉鷹山 二百年前の行政改革」(1998年・NHK)を観てはいますが・・・。

おかげで筒井さんをイメージして読み進めてしまいました。
それにしても、想像以上に素晴らしい人物だったんですね。
財政破綻の危機にあった米沢藩の改革を行ったわけですが、常に民を中心に置く考え方で、当時ならとても受け入れられる状況にはなかったはず。
17歳の藩主・治憲(鷹山)は、清廉潔白で慈悲深く、それでいて思慮深く、常に前向きに改革に取り組んでいきます。

当然旧態依然の反対派の壁は厚く、それに対しても臣下の上下は問わず、領民まで等しく扱う考え方で、何事も隠さず伝え、そして願う姿勢を崩すことはありませんでした。
優しく忍耐を持っての為政も、時には重役たちを処断するということにもなりますが、決して短気にならず、段階を踏んで行っています。
当然、治憲の性格上自身も傷つかずにはいられない、悩みもする、それを乗り越えて改革の道を進みます。

 


 

治憲の改革の細かな部分(奨励したことや自身の生活態度など)は省略します。(笑)
ここまで治憲だけのことを書いてきましたが・・・
治憲以上に感じることが多かったのは、実は治憲の考えに感銘を受けて改革に力を尽くす家臣たちのことですね。
旧態依然とした政治に不満があり、変り者として嫌われたり避けられたりしていた人たち。

身分を捨てるほどの覚悟で開墾に飛び込む家臣たち。
治憲が初めて米沢入りをした、荒れ果てた板谷宿での野宿の時に灯した火種を持って・・・。
藩内や領民たちが治憲の改革を理解するのには、いくつもの難題が待ち受けていました。
成功かと思えば、綻びが出て来るの繰り返し・・・。

誰よりも改革の先頭に立っていたはずの竹俣当綱のエピソードが一番印象深いですね。
権力を持ち過ぎたために、暴走をしてしまった・・・。
高邁な理想で必死で立ち働いていたはずが、利益を最優先する人たちに取り込まれて堕落していく。
治憲の諫めにも応じることなく、やがて職を解かれ、幽閉されます。
その時、本人はホッとしたのではないか、それほどに苛烈な仕事だったのではないか、と・・・。
治憲の命を受け、罰を言い渡さざるを得なかった莅戸善政も、一緒に改革に取り組んできた仲間として辞職しました。
当綱は幽閉中も多くの改革論を書き、執政の職務についていた息子に、中から良いものを選んで国に報いてくれと残したとのこと。

開墾に成功し、治憲に側近に戻るように要請された山口新介は、それを断ります。
開墾につけば出世できると思われたり、城中に入れば嫉まれたりする、と・・・。
彼は、領民や藩士などの間で経験したことで、当綱の件も冷静に同情を持って分析します。

治憲は35歳で隠居しますが、財政はまた危機を迎え、再度改革に向います。
“鷹山が振興した米沢織、絹製品、漆器、紅花、色彩鯉、そして笹野の一刀彫りにいたるまで、現在もすべて健在である”
最後にそう結ばれています。

小説として読めば、幸姫が最初だけにしか登場していないこと、佐藤文四郎(治憲に最初から付き添っていた)とみすず、山口と千代のその後が全く触れられていないのが気になりました。

余談です・・・。
この本を読んでいる途中で、図書館から「上杉鷹山 二百年前の行政改革」(VHSビデオ)を借りてきていました。
原作者が同じということで、最初からシーンもセリフも一緒で、結局全部観ないまま返却してしまいました。
筒井道隆さんがとにかく若くてイケメンで、目の保養にはなりましたけど・・・。(笑)
最初に登場した子役の治憲の歩き方が、筒井さんの歩き方にそっくりで笑ってしまいました。
筒井さん、どんなドラマでも歩き方が同じような気がします。
ちょっと片方の肩を落として、足の長さが違うような特徴的な歩き方をしますね。


こちらでは、かなり詳しい内容が書かれています。
  ↓
  ≪童門冬二『小説 上杉鷹山』を読んで≫

 


 


 

 

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