NHK「ふたりのディスタンス ピース 綾部祐二と又吉直樹」を観て

　「ふたりのディスタンス　ピース　綾部祐二と又吉直樹」

　　　　　　　　　　　　　　　NHK総合　2023年12月22日放送

今年も押し詰まってきましたね。
テレビ好きの私ですが、どこを観てもガチャガチャした気分になってしまって･･･。
それでも、何となく物足りなくて、たまたま録画していた「ふたりのディスタンス」を観てみました。
何だろう？とにかく心地良かったんですよね。

録画していたのは、渡米した綾部さんがどのように暮らし、今回の帰国でどんな姿を見せるのだろうという、完全に好奇心からです。
又吉さんの反応にも興味がありましたし･･･。
6年前、芸人仲間では、“もう行った？” “まだ、いるよ” などとのうわさが飛び交っていたことを覚えている私も相当なものですね。

まず、綾部さんの自己プロデュースの凄さに驚かされました。
羽田に登場するシーンから、しっかりと描いていてプロデューサーに伝えていましたね。
いえ、その前のリモートの打ち合わせでは、背景に例のハリウッドの看板がありました。
ハリウッドスターになるのが夢、と語っていますしね。
飛行機の着陸時にアメリカ国歌が流れるのには笑ってしまいました。

原宿では、人々に囲まれないのが不満な様子（若い女性は喜んでくれて、写真を撮ったりしていますが･･･）。
それが、がっかりしたり傷ついたりした様子ではなく、すべてエンターテインメントになっていましたね。
アメリカの仕事の方も、頑張ったのにカットされたことなどを笑い話にして語ってくれました。
又吉さんがまた登場しないのに、笑いながら楽しんで観ていられたものです。

HI、 HOW ARE YOU？ [ 綾部　祐二 ]

プロデュースは完璧で、又吉さんとの再会はトークライブの舞台上でとのこと。
綾部さんをすべて受け入れているような又吉さん。
又吉さん曰く、綾部さんを自己演出が自然体なのだと、売れて天狗になったのではなく、最初から天狗なのだ、とには笑ってしまいましたが･･･。
いろいろな意味で距離があっても、どこか分かり合えている空気感が素敵だと思えましたね。

ただただ有名になりたかったという綾部さん。
漫才やコントを書いて、人前で発表したかったという又吉さん。
背中合わせの関係のように見えるふたり。
でも、綾部さんは再会前にふたりがコンビを決めた明治神宮に出かけては、又吉さんが好きなカレーを食べたり･･･。

映像が、又吉さんがカレーにこだわったり食べたりしているシーンにつながって、その編集にも感心してしまいました。
この番組を初めて観ましたが、その辺が番組の形態なのでしょうか。
映像が柔らかくて、どうしても暗めになりそうな印象の又吉さんもふわっとしていて、静かに綾部さんを分析していても、明るい空気をまとっているような感じがしたものです。
そのあたりも、観ていて心地良さを感じた理由かもしれません。

クライマックスになるはずのトークライブは、大げさな抱擁シーン（戸惑う又吉さん）から始まったものの、その後はなんのブランクを感じさせない楽しい掛け合いでしたね。
全く違う人格なのに、ふたりの息の合い方がとても自然で、昨日の続きを話している感じでした。
ディレクターやスタッフも楽しそうで、最後も綾部さんらしく、ピースサインでアメリカへ戻って行きました。

ずっと笑いながら観ていましたが、綾部さんの“今はまだ何者にもなっていない。これからだ”という強い気持ちが伝わってきたものです。
又吉さんが芥川賞作家になり、立場が逆転し、それで渡米を、と勘繰っていたことを申し訳なく思っています。
40代半ばでも始めたり、やり直したりできる時代になっているんだなあ、と思ったのも事実です。

綾部さんに振り回されたようでいて、いつも又吉さんらしかったのも印象に残ります。
綾部さんに対してタメ口をきかないのは、綾部さんが後輩からタメ口をきかれて怒っていたからなんですね。
何より驚いたのは、又吉さんの方が年下だったことですが････。

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密着なので、ラストにラジオの「又吉・児玉・向井のあとは寝るだけの時間」の控室？が映ったのが嬉しかったものです。
向井さんも児玉さんも、この時は児玉さんの相方・赤羽さんもいました。
又吉さんのホッとしたかのような愚痴のような感想に、みなさん笑っていましたね。
突然ですが、サルゴリラのおふたり、キング・オブ・コント優勝おめでとうございます。

ついでに･･･
「あと寝る」（NHKラジオ・月曜日午後９時5分～）のファンです。
昔一緒に住んでいた3人。
まるで仕事をしていないような（自称であり、リスナーの思いでもある）空気の番組で、毎週彼らの笑い声に癒されています。

先日、前々回の放送分がテレビで初めて公開されました。
番組の中で、ラジオではいつも髪を団子状態にしている又吉さんが、その日はいつものイメージの髪を垂らしていて、ふたりにイジられていましたね。
おかげさまで、テレビ放送で団子状態の又吉さんを観ることができました。

月と散文 [ 又吉　直樹 ]

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